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【2026年最新】日本の越境ECの始め方|市場規模・関税・費用相場を徹底解説

By Nanami
25/07/2026 UTC.

近年、日本国内のEC市場が成熟する一方で、世界の越境EC市場は拡大を続けています。円安を追い風に、日本の商品を海外へ販売したいと考える企業やEC事業者も増えており、「越境ECの始め方」への関心が高まっています。

 

一方で、「海外販売には多額の初期投資が必要ではないか」「関税や物流、決済への対応が難しそう」と不安を感じ、なかなか一歩を踏み出せない企業も少なくありません。

 

しかし、越境ECを活用すれば、現地法人や実店舗を設立しなくても、日本から海外の消費者へ商品を販売することが可能です。市場や販売チャネルを適切に選び、物流や決済の仕組みを整えることで、比較的少ない投資で海外市場への参入を目指せます。

 

一方で、近年は各国で関税制度や輸入規制の見直しが進んでおり、米国のデミニミスの変更など、越境ECを取り巻く環境は大きく変化しています。こうした制度変更を正しく理解し、適切に対応することが、安定した越境EC運営の重要なポイントです。

 

本記事では、2026年最新の越境EC市場の動向をはじめ、越境ECの始め方7ステップ、販売チャネルの選び方、関税・税制の基礎知識、費用相場、収益シミュレーションまで分かりやすく解説します。これから越境ECへの参入を検討している企業は、すでに運営しており最新の制度や物流への対応を見直したい事業者の方も、ぜひ最後までご覧ください。

1. 日本の越境ECとは?

越境ECとは、国境を越えてオンラインで商品を販売・購入する仕組みです。日本企業にとっては、現地法人や実店舗を持たずに海外市場へ販路を拡大できる有効な手段として注目されています。

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日本の越境ECの基本定義

 

ここでは、日本企業による越境ECに焦点を当て、基本的な仕組みや市場動向、始め方を分かりやすく解説します。

1.1. 越境ECの基本定義と2つの方向性

越境ECとは、国境を越えて行われるオンライン電子商取引のことです。経済産業省の定義では、日本から海外へ商品を直接発送する直送モデルや、海外現地の保税区に在庫を置いて配送する保税区モデルなど、多様な取引形態が含まれます。

 

この越境ECは、ビジネスの進む方向性によって「アウトバウンド型」と「インバウンド型」の2つに大きく分類されます。

① アウトバウンド型

アウトバウンド型とは、日本の事業者が海外に居住する消費者へ商品を販売する形態です。円安の追い風や日本品質に対する世界的な信頼を活かして、海外の巨大市場へアプローチできます。なお、本記事で解説する「越境ECの始め方」は、主にこのアウトバウンド型を対象としています。

② インバウンド型

インバウンド型とは、海外の事業者が日本国内の消費者に向けて商品を販売する形態を指します。訪日外国人が帰国後に日本のECサイトで同じ商品を継続購入する「旅後マーケティング」などもこれに含まれます。

 

越境ECの全体像や導入までの流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

 

>>関連記事:越境ECの始め方完全ガイド|費用・関税・成功のポイントを徹底解説【2026年版】 

1.2. なぜ今、日本の越境ECが注目されるのか

日本発の越境ECが今注目を集めている背景には、市場を強力に後押しする3つの追い風が存在します。

① 円安による為替メリットの拡大

1つ目は、円安傾向による収益性の向上です。ドル建てなど外貨で得た売上を日本円に換算する際、円安局面では利益が大きく押し上げられます。同じ商品・同じ価格で販売しても為替差益が得られるため、事業者にとって非常に利幅を取りやすい環境が整っています。

② 「Made in Japan」ブランドに対する世界的な信頼

2つ目は、日本製品やコンテンツに対する根強い海外需要です。日本の商品は品質の高さや安全性において世界中から高い評価を受けています。特に日本限定品やアニメ・ゲームに関連するカルチャー商品は、海外の熱心なファン層から高い人気を集めています。

③ 世界的な越境EC市場の急速な拡大

3つ目は、越境EC市場そのものの圧倒的な成長スピードです。世界の越境EC市場は、成熟しつつある日本国内のEC市場を大きく上回るペースで拡大を続けています。なお、市場規模の具体的なデータや将来性については、次章で詳しく解説します。

 

これら3つの要因が重なり合うことで、日本企業にとって越境ECは「リスクを抑えながら高い成果を狙える魅力的な事業領域」へと進化しています。

1.3. 越境ECと海外発送の違い

越境ECと単なる海外発送は混同されがちですが、本質的には全く異なる概念です。

単なる海外発送とは、国内向けのECサイトで受けた注文に対して、商品を海外の住所へ送るだけの配送作業を指します。一方、越境ECとは、海外の消費者がストレスなく安心して購入できるように最適化された販売システム全体の構築を意味します。

本格的な越境ECの運用には、多言語での商品案内をはじめ、現地通貨による価格表示や現地の主要決済手段の導入が欠かせません。さらに、国ごとの関税や税務処理の適切な管理、海外からの返品や問い合わせに応じるサポート体制の整備も必須となります。

これらの仕組みを整えずに海外発送のみで対応した場合、購入途中の離脱増加や配送後の大きなトラブルに直結しやすくなります。越境EC事業を成功させるためには、単に商品を海外へ送れる状態を目指すのではなく、現地のユーザーにとって買いやすい環境を整える視点が極めて重要です。

2. 日本の越境EC市場規模と今後の成長予測

越境EC市場の規模と成長性を把握することは、海外展開を成功させる第一歩です。ここでは、世界の越境EC市場、日本国内EC市場との比較、今後の市場動向を分かりやすく解説します。

2.1. 世界の越境EC市場の規模と成長率

経済産業省の調査によると、世界の越境EC市場規模は2024年時点で約1.01兆USドル、日本円で約152兆円に達しています。この市場は今後も強力な拡大を続け、2034年には約6.72兆USドル規模へ成長すると予測されています。  

 

市場の成長率を示す年平均成長率は、算出期間や報告書の年度によって数値に幅が見られます。最新の報告書では、2025年から2034年までの年平均成長率を約23.1%と試算しています。一方で、過去の報告書をベースにした推計では、2021年から2030年の年平均成長率を約26.2%とするデータも存在します。  

 

これらの数値は集計期間や試算方法が異なるため単純な比較はできません。しかし、どの推計結果においても、世界の越境EC市場が年率20%を超える非常に高い成長率で成長を続けているという共通した傾向を示しています。

 

国内のEC市場が緩やかな成長にとどまる中、これほど高い伸び率を維持する越境EC領域は、日本企業にとって見逃せない大きなビジネスチャンスと言えます。

2.2. 日本国内EC市場との比較

日本国内のEC市場とデータを比較すると、越境ECが持つ圧倒的な成長速度がより明確になります。経済産業省の調査データによると、2024年の日本国内BtoC商取引におけるEC市場規模は26兆1,225億円で、前年比の伸び率は5.1%増と成熟に伴い緩やかな拡大にとどまっています。  

 

一方で世界の越境EC市場は年率20%を超える高い成長率を維持して推移しています。国内市場の伸びが数%台であるのに対し、世界規模の越境EC市場はその4倍から5倍という驚異的なスピードで拡大を続けている計算になります。

 

国内市場の成長が落ち着きを見せる中で、この成長率の大きな隔たりは日本企業が海外へ販路を広げるべき強力な根拠となります。新たな売上軸を構築し事業の成長を持続させるためにも、今こそ越境EC参入を検討する最適なタイミングと言えます。

2.3. 越境EC物流市場の成長予測

越境ECの急拡大に伴い、商品を世界へ届ける配送インフラや国際物流市場も目覚ましい成長を遂げています。調査データによると、世界の越境EC物流市場規模は2025年の約1,025億USドルから2030年には約2,384億USドルへ拡大する見通しです。  

 

この間の年平均成長率は18.4%に達すると予測されており、EC本体の成長と連動する形で国際配送のネットワーク整備が急速に進んでいます。  

 

国境をまたぐ配送ルートの拡充やAIを活用した通関手続きの自動化が進むことで、配送スピードの向上とコストの適正化が期待されています。物流面の利便性が高まることは、今後越境ECへ挑戦する日本企業にとって参入のハードルを大きく下げる追風となります。

3. 越境ECを始める7ステップ

越境ECを始めるには、市場選定から販売チャネルの構築、物流・決済・関税への対応まで、事前に押さえるべきポイントがあります。ここでは、日本企業が越境ECを始める際の流れを、7つのステップに沿って分かりやすく解説します。

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越境EC参入における具体的な7ステップの進め方

3.1. 販売する国・商品を決める

越境EC成功の第一歩はターゲット国と商品を一体で選定することであり、現地の市場規模・輸入規制・競合状況の3つの観点から販売国を選定することが重要です。品質が好まれる米国、日本ブランドの信頼性が高い中国や台湾、日用品の価格競争力が鍵となる東南アジアなど地域ごとの購買特性は大きく異なります。自社商品の強みと参入国の市場環境を事前にマトリクス分析で掛け合わせておくことで、ターゲット設定のミスマッチを防ぎスムーズな事業立ち上げを実現できます。

3.2. 販路プラットフォームを選ぶ

販売国と商品が決定した後はShopifyに代表される自社ECサイトとAmazonやShopeeなどのモール型プラットフォームから最適な販路を選定します。ブランディングを重視する場合は自社ECが適しており集客力を優先する場合はモール型が有利ですが初期段階では両者を組み合わせた併売戦略も効果的です。運用においては月間出荷量や人員体制および言語対応力を基準に自社運用の範囲を見極めリソースが不足している場合は発送代行や外部サービスを柔軟に活用することが成功のポイントです。

 

プラットフォームごとのメリット・デメリットや、自社に適した選び方について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

>>関連記事:【2026年最新】越境ECプラットフォームおすすめ6選|種類・比較・選び方を徹底解説 

3.3. 越境EC向けの決済・多通貨対応を設定する

海外消費者の離脱を防ぎスムーズな購入を実現するには現地で主流のクレジットカードやPayPalおよび地域固有の決済手段に対応することが不可欠です。また現地通貨でのリアルタイム価格表示や為替レートの自動更新機能を備えたシステムを導入することで手動運用の手間を大幅に削減し購入率の向上と運用効率化を同時に達成できます。

3.4. 多言語の商品ページを用意する

商品ページの多言語対応は購入率を大きく左右する重要な要素であり信頼性の高いコンテンツ作成が求められます。機械翻訳のみに頼ると不自然な表現や誤解を生むリスクがあるため機械翻訳で下訳を作成した上でネイティブスピーカーによる校正を組み合わせる運用が最適です。この一手間を加えることでブランドの世界観や商品の魅力を正確に伝えユーザーの安心感と購買意欲を同時に高めることが可能になります。

3.5. 物流・配送方法を決める

越境ECの利益率と顧客満足度を左右する配送スキームの構築では自社発送とFBAなどの現地フルフィルメントおよび発送代行サービスの3つから最適な手法を選定します。国内から都度出荷する自社発送は初期コストを抑えられる反面お届けまでに時間を要し現地倉庫を活用するFBAや代行サービスは高い配送スピードを実現できる一方で在庫リスクや手数料が発生します。商品の重量やサイズおよび在庫回転率といった商材特性と対象国の物流インフラを考慮して最適な物流モデルを組み合わせることが重要です。

3.6. 関税・税務・輸出手続きを整理する

越境ECの適切な運用にはHTSコードによる正しい商品分類や原産地情報の確認および関税負担者を明確にする取引条件の設定といった関税や税務の事前整理が不可欠です。これらの手続きを適切に行わない場合通関の遅延や想定外の追加コスト発生など予期せぬトラブルにつながるリスクが高まります。最新の制度変更や国ごとの規制を正確に把握し事前の実務構築と価格設定を徹底することが円滑な海外発送と安定した事業運営を実現する鍵となります。

3.7. 公開後の集客・改善サイクルを回す

ストア公開後はターゲット国向けのSNS広告や検索広告の運用に加えて現地言語でのSEO対策や顧客レビューの獲得を継続的に実施することが成功の鍵となります。これらの集客施策と改善のPDCAサイクルを迅速に回すことでサイトの信頼性とCVRを高め売上の持続的な成長を実現できます。

4. 日本企業が直面する関税・税務の壁

越境ECを成功させるには、関税・税務制度への理解が欠かせません。近年は各国で制度改正が進み、日本企業への影響も大きくなっています。ここでは、越境ECで押さえておきたい関税・税務の最新動向と注意点を解説します。

4.1. 米国デミニミス廃止のインパクト

米国で従来適用されていた800ドル以下の輸入貨物に対する免税措置および簡素化通関制度であるデミニミスルールが廃止されたことで、日本からの小口配送にも関税や通関手続きが全面的に適用されるようになりました。これにより低価格帯の商品を含めたすべての発送においてコスト増加と手続きの複雑化が避けられない状況となり、利益率の圧迫や販売価格の見直しを余儀なくされる事業者が急増しています。

 

米国向け越境ECを展開する上では制度変更に伴う関税負担を正確に算出することが不可欠です。あらかじめ関税を考慮した現地での適切な価格戦略と収益モデルの再構築を進めることが、事業の継続性を確保する重要ポイントとなります。

4.2. 主要国のデミニマス基準一覧

デミニミス基準と呼ばれる少額輸入貨物に対する免税制度は国や地域によって基準額や対象範囲が大きく異なります。日本の現行基準は約1万円であり、カナダでは20カナダドルと設定されつつUSMCAに基づく例外規定が設けられています。EUにおいては150ユーロ以下の関税免除措置が適用されていましたが、2021年のVAT免税廃止とIOSS制度導入に続き、2026年7月からは150ユーロ以下の関税免除自体も廃止されるなど規制の厳格化が進んでいます。  

 

このように免税となる金額の閾値だけでなく、課税対象が関税のみか付加価値税まで含むかという適用範囲も国ごとに異なっています。さらに主要国では税制改正や制度の変更が相次いでいるため、ターゲット国を選定する段階で最新の基準と法改正動向を正確に把握しておくことが重要です。

4.3. DDPとDDUの違い

越境ECにおいて関税の負担者をどちらにするかを定める取引条件には、DDPである関税元払いと、DDUである関税着払いの2種類が存在します。

DDPは出品者側があらかじめ関税分を送料や商品価格に含めて決済する方式です。購入者は商品受け取り時に追加費用が発生しないため購買体験が向上し、関税支払いを理由とした受取拒否のリスクを大きく低減できます。

 

一方のDDUは購入者が商品を受け取る際に関税を支払う方式です。出品者側の初期費用や計算の手間は軽減されるものの、購入者が予期せぬ関税請求に驚き、受け取りを拒否してしまうトラブルが発生しやすい課題があります。

 

項目

DDP 関税元払い

DDU 関税着払い

関税の負担者

出品者

購入者

購入者の負担感

低い 購入時に支払総額が確定

高い 受取時に追加請求が発生

受取拒否リスク

低い

高い

出品者の事務負担

やや高い 事前計算や価格反映が必要

低い

 

近年は主要マーケットプレイスにおいて購入体験の改善を目的とした関税元払いへのシフトが急速に進んでいます。顧客満足度を高めてリピート購入へつなげる越境ECビジネスにおいては、DDPの導入が標準的な選択肢になりつつあります。

4.4. 日本側で必要な輸出・消費税の実務

関税は輸入国側の制度ですが、日本国内の税務手続きや消費税の仕組みを正確に把握しておくことも越境EC事業において極めて重要です。日本の消費税法では海外への発送は輸出免税の対象となり、商品販売時に日本の消費税はかかりません。一方で商品の仕入れ時に支払った消費税については、仕入税額控除や還付申請を行うことで手元に戻すことができ、余分な税負担を抑えることが可能です。  

 

税務還付を円滑に行い通関トラブルを防ぐためには、国際取引における基本情報の正確性が欠かせません。関税率算出の基準となるHTSコード、優遇関税の適用に影響する原産地表示、取引内容を証明するインボイスの記載内容に誤りがあると通関遅延や追加課税が発生します。

 

書類や情報に不備があると想定外のコストが発生するだけでなく、税務申告時の証明書類として認められないリスクも生じます。越境EC事業を本格化させる段階ではインボイス制度への対応も含めて、通関士や税理士などの専門家に相談しながら適切な体制を整えておくことが推奨されます。

5. 越境ECの費用相場と初期費用と費用シミュレーション

日本の越境ECを始める際は、初期費用や運用コストを事前に把握することが重要です。ここでは、越境EC開発・運営にかかる費用相場や内訳、収益シミュレーションの考え方を解説します。

5.1. 越境ECにかかる基本的な4つの費用

越境ECの運営コストは大きく以下の4つに分類できます。

① プラットフォーム費用

Shopifyなどの自社EC構築サービスを利用する際の月額利用料に加え、AmazonやeBayなどのモールに出店する場合に発生する販売手数料が該当します。

② 物流費用

商品の保管料や梱包費をはじめ、海外への国際送料や配送代行サービス利用時の各種手数料が含まれ、商品のサイズや重量および発送先の国によって変動します。

③ 多言語対応費用

商品ページや規約類を現地の言語へ翻訳する費用であり、機械翻訳にネイティブスピーカーの校正を組み合わせることで翻訳精度と購買率の向上につながります。

④ マーケティング費用

現地向けのWeb広告出稿費やSEO対策費が該当し、サイト開設後の集客や売上拡大を継続的に推進するために一定の予算確保が必要となります。

 

これら4つの基本費用をあらかじめ把握しておくことで、越境EC参入時における精度が高い予算計画の策定が可能になります。

5.2. 初期費用・月額費用の目安

越境ECの初期費用は内製化の範囲や外部委託の利用規模によって大きく変動します。

 

Shopifyの基本プランを活用して既存在庫や特定国へのテスト販売から小規模に始める場合、最小構成であれば数十万円程度の予算から参入可能です。

 

一方、複数国への本格展開や独自サイトの構築および物流体制の整備まで見据える場合、初年度で100万円から300万円程度の予算が必要となります。この費用にはサイト制作費や初期在庫費をはじめ多言語翻訳費や初期広告費が含まれます。

 

なおこれらの金額はあくまで一般的な目安です。 取り扱う商材や利用するプラットフォームおよび委託範囲により実際の費用は異なるため自社の事業計画に合わせた事前見積もりが推奨されます。

5.3. 越境EC開発の見積もり事例と費用シミュレーション

越境EC事業における収益性を正確に把握するには事前に行う収益シミュレーションが有効です。基本となる粗利は売上から商品原価や決済およびモール手数料と国際送料や関税および広告費を差し引いて算出します。

 

特に DDP と呼ばれる関税元払いで販売する際は関税分をあらかじめ販売価格へ反映させる必要があります。この関税コストを見落とすと実際の利益が大幅に減少するリスクが生じるため注意が必要です。

 

シミュレーションでは商品原価や各種手数料をはじめ重量別送料や関税額および1件あたりの獲得広告費を商品ごとに洗い出します。これらを正確に計上することで商品別の適正な粗利率が明確になります。

 

算出された粗利率が低い商品については販売価格の再設定やより費用対効果の高い販路への見直しが不可欠です。事前の緻密なシミュレーションが越境ECの継続的な収益化につながります。

6. 日本の越境EC成功企業に共通する3つのパターンと失敗回避法

越境ECで成功するためには、始め方だけでなく、成功企業に共通する特徴や失敗しやすいポイントを理解することが重要です。ここでは、日本企業の越境EC成功パターンと、参入時に押さえておきたい失敗回避のポイントを解説します。

6.1. 越境EC成功企業に共通する3つのパターン

越境ECで継続的に売上を伸ばしている企業には明確な共通点が存在します。成功企業が見せる主なパターンは以下の3つです。

① 日本ならではの独自性を持つ商材の展開

海外市場で支持される商品には日本でしか手に入らない希少性や独自性があります。アニメやゲーム関連グッズをはじめコスメや伝統工芸品および中古のコレクターズアイテムや健康食品などが代表例です。日本国内では一般的であっても海外市場において高い価値を持つ商材を見極めることが重要になります。なお健康食品や化粧品は販売国の成分規制や輸入手続きを事前に確認する必要があります。

② 販売国に応じたローカライズの徹底

商品を単に海外へ発送するだけでは十分な成果に結びつきません。成功企業は現地言語によるネイティブ校正済みのページ作成や現地で普及している決済手段の導入および関税トラブルを防ぐ配慮など購入者の不安を解消する最適化を徹底しています。

③ 中長期的な改善サイクルの継続

サイト公開をゴールとせず広告運用やSEO対策およびレビュー獲得などの改善サイクルを継続して回す姿勢が不可欠です。越境ECは立ち上げ直後に成果が出にくい側面があるため中長期的な視点での検証と改善の積み重ねが事業成長につながります。

 

6.2. 越境ECの失敗パターン4選と回避法

越境EC事業で失敗する企業には共通した要因が存在します。代表的な4つの失敗例とその回避策をあらかじめ把握しておくことが重要です。

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越境EC事業で陥りがちな代表的な失敗パターン4選

① 送料および関税の想定漏れ

国際送料や関税を考慮せずに価格を設定すると利益率の悪化につながります。特に着払い方式では受取時の追加費用により購入者が受け取りを拒否するトラブルが発生します。回避法 事前に商品ごとのコストシミュレーションを徹底し関税を含めた価格設定を行います。関税元払い方式を採用し購入時に支払総額を明示することが推奨されます。

② 翻訳品質の低さによる信頼低下

機械翻訳のみで作成された不自然な商品ページはサイトの信頼性を損ね購入を躊躇させる原因となります。回避法 機械翻訳を下訳として活用しつつネイティブスピーカーによる校正を実施します。特に商品説明やよくある質問など購入判断に関わる部分は優先的な対応が必要です。

③ レビュー不足による新規獲得の伸び悩み

海外の消費者は馴染みのないショップに対して警戒心を持つためレビューの有無が購入決定に大きく影響します。回避法 購入後のフォローメール送信や投稿特典の付与など運用初期から能動的にレビューを収集する仕組みを構築します。

④ 販売国の規制や禁制品の確認不足

輸入規制や対象国の法律を確認せずに出品すると通関での差し止めやアカウント停止などのリスクが生じます。回避法 健康食品や化粧品および電子機器などを扱う際は参入前に対象国の規制情報や必要書類を事前に調査することが不可欠です。

7. 越境EC市場調査を成功させる3つの実務ポイント

越境ECを成功させるには、事前準備が欠かせません。ここでは、越境ECへ参入する前に確認しておきたい5つのポイントをチェックリスト形式で解説します。

7.1. 販売国の規制・輸入禁制品を確認したか

販売予定国における取り扱い商品の輸入規制や禁制品の有無をあらかじめ確認しておくことが不可欠です。健康食品や化粧品および電子機器などは国や地域によって規制基準が大きく異なるため確認を怠ると通関での商品差し止めやECプラットフォームのアカウント停止といった重大なリスクにつながります。事業展開時のトラブルを回避するためにターゲット国を決定する初期段階で現地の最新規制情報や輸入禁止リストを確実に調査しておくことが重要です。

7.2. 関税負担(DDP/DDU)を価格に反映したか

関税元払いであるDDPと着払いのDDUのどちらを採用するかを決定し関税分を販売価格へ正しく反映させることが重要です。関税負担の方式によって購入者の負担感や受取拒否のリスクは大きく変化します。特に着払いを選択する場合であっても事前に関税額を考慮した価格設計を行わなければ収益シミュレーションが崩れ想定した利益を確保できなくなる恐れがあるため注意が必要です。

7.3. 物流を自社/委託どちらで回すか決めたか

自社発送やFBAおよび発送代行サービスの中から月間出荷量や社内リソースに合わせた最適な物流体制を選定しておく必要があります。物流フローが未確定のまま販売を開始すると注文急増時に配送手配や出荷業務が追いつかなくなるリスクが生じます。事前に運用のシミュレーションを行い無理のない配送体制を構築しておくことが事業安定化の鍵となります。

7.4. 多言語ページはネイティブ校正済みか

商品ページや利用規約などの多言語コンテンツにおいてネイティブスピーカーによる校正を完了させておくことが不可欠です。機械翻訳のみで作成された不自然な文章はサイトの信頼性を損ね購入を躊躇させる原因となります。特に購買決定に直結する商品説明やよくある質問ページは優先的に校正を行い現地消費者が安心して購入できる環境を整える必要があります。

7.5. 返品・問い合わせの多言語対応体制はあるか

購入前の情報提示だけでなく購入後の返品や交換および問い合わせに対して現地言語で迅速に対応できるカスタマーサポート体制を準備しておくことが求められます。言語の壁による対応の遅れは顧客満足度の低下やネガティブなレビューへ直結します。チャットボットの導入や外部サポート代行の活用も含め購入後まで見据えた運用体制を事前に構築しておくことが重要です。

 

越境ECを成功させるためには、多言語対応や海外決済、国際配送、海外顧客からの問い合わせ対応など、販売後の運用体制を整えることも欠かせません。しかし、これらをすべて自社で構築・運用するには、多くの時間とコストがかかります。

 

Ezbuy Japanなら、ECサイトへJavaScriptタグを設置するだけで、既存のECプラットフォームを変更することなく海外販売を開始できます。海外のユーザーは現在のECサイトからそのまま商品を購入でき、海外決済や多言語でのカスタマーサポート、国際配送までをワンストップでサポートします。

 

そのため、本章で紹介した「決済対応」「物流体制」「多言語サポート」といった越境ECに必要な運用体制を、自社で一から構築する負担を大幅に軽減できます。

 

越境ECへの参入や海外販路の拡大をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 越境ECは日本の個人でも始められますか?

個人でも越境ECを開始できます。ShopifyやeBayを活用すれば法人設立を経ずに低コストでストアを開設可能です。ただし規模拡大に伴い関税処理や多言語対応の負荷が高まるため、まずは小規模から始めて段階的に運用体制を拡張することをおすすめします。

Q2. 日本から越境ECを始めるなら、おすすめのプラットフォームは?

自社ブランドの構築を重視する場合は自由度が高いShopify、初期からの集客力を優先する場合はAmazonやeBayの活用が最適です。また東南アジア市場をターゲットとする場合はShopeeも有力な選択肢となります。取扱商材や参入地域の特性に合わせて最適なプラットフォームを選定することが成功への近道です。

Q3. 米国のデミニミス廃止で日本の越境ECはどう変わりましたか?

米国のデミニミスルール撤廃に伴い従来は800ドル以下の少額輸入に認められていた関税免除が廃止されすべての米国向け出荷商品に関税が課されることになりました。これにより低価格帯の商材であっても関税コストの負担が発生するため販売価格の再設定やDDP対応を含めた収益構造の見直しが必要不可欠となっています。

Q4. 越境ECで海外に売れやすい日本の商品は何ですか?

アニメやゲームの関連グッズをはじめ日本の高品質なコスメや伝統工芸品および希少性の高い中古コレクターズアイテムなどが海外市場で高い人気を誇ります。これらはいずれも日本でしか入手できない独自性を備えており差別化を図りやすい点が特徴です。また健康食品も非常に高い需要が見込めますが販売国ごとの成分規制や輸入手続きを事前に確認しておくことが重要となります。